海の上でエンジンが止まったら?2回漂流して分かった、アンカーロープの長さとペラのロープを切るナイフの重要性
マイボートで、海の上を漂ったことが2回あります。
1回目は海の上で急にエンジンが止まり、2回目はペラ(プロペラ)にロープが絡まりました。

エンジンが止まったら、まず何をすればいいの?

救助を呼ぶ前に、自分でできることってある?
どちらのときも数時間単位で漂いましたが、幸い浅場で、アンカーが打てたので助かりました。
それ以来、長めのアンカーロープを積むようになり、係留している近くの人との付き合い方も少し変わりました。
この記事でわかること
- エンジン停止とペラのロープ絡みで、実際に何が起きて、どう切り抜けたか
- 止まった直後に確かめる順番と、118番に伝えること
- アンカーロープの長さは水深の何倍が目安か(ヤマハの資料から)
- ペラに絡んだロープを切るためのナイフ
- 引っ張ってもらえる相手を、普段から作っておく理由
法定備品はこちらで一覧にしています
アンカーや係船索など、積んでいないと船検に通らない物は、限定沿海の23ftに当てはめて別の記事にまとめました。
1回目は、海の上でエンジンが急に止まった
23ftの船外機艇で起きたことです。
海の上で、急にエンジンがストップしました。
原因は、海水がエンジンの中に入り込んでしまったこと。
確か部品(パッキン)の劣化だったと思いますが、どこのパッキンだったかは、もう覚えていません。
このときは、近くに係留してる人に引っ張ってもらって帰りました。

定期メンテナンス大事、とこのとき思いました
止まったら、まず人・船・位置の順に確かめる
ヤマハ発動機は、洋上でトラブルが起きたときの初期対応を次の順番で説明しています。
| 順番 | やること | 中身 |
|---|---|---|
| 1 | 状況(人員)の把握 | 落水した人やけが人がいないか |
| 2 | 状態の確認 | 船体・エンジン・ドライブ等がどうなっているか |
| 3 | 位置情報の確認 | 今どこにいるか |
| 4 | レスキューの要請 | 自力で対応できないと判断したら、状況・現在位置・けが人の有無を伝える |
| 5 | 2次トラブルを防ぐ | 機関トラブルで漂流しているならアンカーを入れて漂流を留める、など |
あくまで人命優先が基本で、自力で走れるかどうかは船長の判断です。
見落としやすいのが5番で、流されたままだと浅瀬への乗り上げや、横波を受けての転覆といった次の事故につながると書かれています。
自力で戻れないと判断したら、118番も使う
仲間の船やマリーナに連絡するだけで終わらせず、海上保安庁の緊急通報用電話番号「118番」も使うよう、第二管区海上保安本部が呼びかけています。
エンジンが止まって再起動できず、知人の漁師に救助を頼んだものの、海岸に流されて漂着した事例を受けての注意です。
海上保安庁の安全啓発資料では、事故のときに118番や付近の船へ伝える項目が挙がっています。
- 通報する人の名前
- 船名・船の種類・乗っている人数・船体の特徴
- どのような事故か(機関故障など)
- 場所(分からなければ、出港した場所と、そこから走った時間)
- けが人の人数と状態
- 今の電話以外に使える連絡手段
- 船の状況と、自分でやった対処
場所が分からないときの言い方まで載っているのは、実際に通報する場面を考えると助かるところです。
2回とも助かったのは、浅場でアンカーが打てたから

エンジン停止のときも、あとで書くペラのロープのときも、数時間単位で海の上を漂っていました。
それでも助かったと言えるのは、どちらも幸い浅場で、アンカリングができたからです。
アンカーが効いていれば、待っている間に船が流されていきません。
ヤマハ発動機の対処法でも、機関トラブルで漂流しているときはアンカーを入れて漂流を留める、とあります。
水深が深くてアンカーが届かない場合は、シーアンカーを入れて波に立て、流れにくくする、という順番です。
シーアンカーのサイズはBMOとワイズギアのシーアンカー全7サイズの比較で詳しく書いています。

それ以来、長めのアンカー用のロープを持ち歩くようにしています
アンカーロープの長さは、水深の3〜5倍が目安
では「長め」とはどのくらいか。
ヤマハ発動機のアンカリングの解説では、アンカーチェーンを併用した場合で水深の3〜5倍程度のアンカーロープが必要とされています。
これは通常の天候での目安で、荒天時は水深の5〜10倍は必要になる、とも書かれています。
この倍率を水深に当てはめた長さが、下の表です。
| 水深 | 通常の天候(3〜5倍) | 荒天時(5〜10倍) |
|---|---|---|
| 10m | 30〜50m | 50〜100m |
| 20m | 60〜100m | 100〜200m |
| 30m | 90〜150m | 150〜300m |
浅場向けの長さしか積んでいないと、水深のある場所では3倍にも届かないことがあります。
同じ解説には、アンカーロープの端を船体に係止しておけば、全部を海に落としてしまうのを防げる、という注意もあります。
アンカーやロープそのものは法定備品なので、法定備品の一覧の分は最初から積んでいる前提です。
ここで考えたいのは、それに足す長さのほうです。
ヤマハ アンカーロープ スパンエステル
ワイズギア(ヤマハ発動機グループ)が扱うアンカーロープです。
太さと長さの組み合わせは6通りあります。
| 太さ×長さ | 品番 | 定価(税別) |
|---|---|---|
| 8φ×30m | QR7YSK000047 | 7,900円 |
| 10φ×30m | QR7YSK000048 | 10,400円 |
| 10φ×40m | QR7YSK000049 | 14,100円 |
| 12φ×40m | QR7YSK000050 | 18,100円 |
| 16φ×40m | QR7YSK000051 | 28,600円 |
| 16φ×50m | QR7YSK000052 | 35,500円 |
いちばん長いのは50mなので、水深の3〜5倍を取ろうとすると、深い場所では1本では足りません。
今積んでいるアンカーロープに継ぎ足すつもりで考えると、選びやすくなります。
太さは、今のアンカーやシャックルに合うかを先に確かめてから選ぶのが無難です。
なお、ここで紹介しているロープは自分が使っている物ではなく、メーカーの公表内容を見て選んだ物です。
2回目は、ペラにロープが絡まった
もう1回は、ペラにロープが絡まって走れなくなりました。
船外機だったのでチルトアップしてペラを水面の上に出し、海上で頑張ってナイフで切って、事なきを得ました。

船外機だったから、チルトアップして海の上で切れました
止まった原因がロープだと、すぐ分かるとは限らない
運輸安全委員会の調査報告には、こんな事例があります。
錨を揚げようと後進に入れたところで船外機が急停止し、船長はバッテリーの過放電だと思って救助を要請しました。
そのあと船外機をチルトアップすると、ブイのロープがプロペラに絡まっていたことが分かり、外したら自力で走れるようになっています。
船外機の船なら、人と位置を確かめたあとでチルトアップしてペラを見てみる価値はありそうです。
自分のアンカーロープを巻き込む事故もある
海上保安庁(第二管区)が紹介しているのは、パラシュートアンカーを入れたあと、向きを変えようとエンジンを使ってアンカーロープをプロペラに絡ませた事例です。
点検口を開けてロープは取り除けたものの、点検口の閉め方が不十分で、そこから浸水し、118番で救助を求めることになりました。
対策として書かれているのは、パラシュートアンカーを入れる前に船首を風上に向け、クラッチを切るかエンジンを止めておくことです。
長いロープを積めば、そのぶん海に出すロープも増えます。
ロープを入れている間はエンジンを使う場面に気をつける、というのは長いアンカーロープとセットで覚えておきたいところですね。
ビクトリノックス スキッパー
ロープを切る道具として紹介するのは、ビクトリノックスのスキッパー(0.8593.2W)です。
大刃が波刃付きで、刃にはロックが付いています。
シャックルを開けるシャックルキーや、ロープの結び目をほどくマーリンスパイクも入っていて、アンカーまわりの作業にも使えます。
| 項目 | スキッパー(0.8593.2W) |
|---|---|
| 定価(税別) | 11,000円 |
| 機能数 | 18 |
| 主なツール | 波刃付きラージブレード/シャックルキー/マーリンスパイク/コンビネーションプライヤー ほか |
| ロック付ブレード | あり |
| 長さ | 111mm |
| 重量 | 183g |
弱いところを挙げると、183gと、ポケットに入れるには重めなこと。
片手で刃を出せるタイプでもありません。
船に置きっぱなしにして、ロープ絡みやシャックルの作業のときに取り出す使い方が合っていると思います。
2回目のときに使ったナイフも何だったかは記録に残っておらず、スキッパーは自分が使っている物ではありません。
引っ張ってもらえる相手がいるかどうか

1回目のエンジン停止で帰ってこられたのは、近くに係留している人が引っ張ってくれたからです。

それ以来、係留してる近くの人とはできるだけ仲良くできるようにした(笑)
笑い話のようですが、海上保安庁の資料にも同じ考え方が出てきます。
海上保安庁の「自船の安全確保3か条」には、故障時に備えた救助支援者の確保が入っています。
仲間の船やマリーナなどの救助体制を、あらかじめ確保しておく、という中身です。
第四管区海上保安本部も、バッテリー上がりで運航不能になった事故を紹介したうえで、仲間の船やマリーナの救助艇による救助体制を確保するよう呼びかけています。
ヤマハ発動機の対処法でも、救助を待つ間にやることの1つが「曳航の準備をする」。
そもそも止まらないために、出る前に見ておくこと
海上保安庁は、小型船舶の機関故障の原因は整備不良が多くを占めているとしています。
そのうえで、発航前検査と、整備事業者による定期的な点検整備をすすめる、という流れです。
発航前検査は船長の義務で、チェックリストにはこんな項目が並びます。
| タイミング | 主な確認項目 |
|---|---|
| エンジン始動前 | 船体の亀裂・破口/ビルジの量が普段より多くないか/燃料の量とコック/燃料フィルタ・セジメンターのゴミや水/エンジンオイルの量/冷却清水の量/バッテリーの液量と端子の締め付け |
| 救命設備など | ライフジャケットの着用/通信手段の充電量・予備バッテリー/気象・海象・水路情報 |
| エンジン始動後 | 計器が正常値か/冷却用の海水がいつもどおりの量と勢いで出ているか/異常な音や臭いがないか |
検査で異常を感じたときや、機関に少しでも不具合があるときは、無理に出港しないことも書かれています。
1回目のエンジン停止は、パッキンの劣化だったと思う、というのが自分の記憶です。
定期メンテナンスは大事と思ったのは、このときです(メンテナンスにかかる費用はマイボートの維持費(23ft・115馬力の実例)に書きました)。
バッテリー上がりで止まるのが心配なら、ボートのバッテリー上がりとソーラーパネルの記事に、ジャンプスターターのことも書いています。
止まったときの動き方と、積んでおきたい物のまとめ
| 場面 | やること・積む物 | 根拠 |
|---|---|---|
| 止まった直後 | 人→船→位置の順に確かめる | ヤマハ発動機の対処法 |
| 自力で戻れない | 仲間やマリーナに加えて118番 | 海上保安庁 |
| 待っている間 | アンカーを入れて流されないようにする | ヤマハ発動機の対処法・2回の漂流 |
| 少し沖で止まったとき | 水深の3〜5倍(荒天時5〜10倍)を出せるアンカーロープ | ヤマハ発動機のアンカリング解説 |
| ペラにロープ | チルトアップして確かめ、ナイフで切る | 2回目の漂流・運輸安全委員会の事例 |
| 普段から | 引っ張ってもらえる相手を作っておく | 1回目の漂流・海上保安庁の3か条 |
2回とも、運よく浅場でした。
長めのアンカーロープを積むようになったのは、そのためです。
ボートのエンジントラブルでよくある質問
海の上でボートのエンジンが止まったら、まず何をしますか?
ヤマハ発動機は、落水者やけが人がいないか、船体やエンジンの状態、現在位置の順に確かめるよう説明しています。
自力で対応できないと判断したら救助を要請し、待つ間はアンカーを入れて漂流を留める、という順番です。
エンジン故障で118番に電話してもいいですか?
第二管区海上保安本部は、機関故障のときに救助支援者へ連絡するだけでなく、118番も活用するよう呼びかけています。
伝える項目には、船名や乗っている人数、場所、けが人の状態、ほかに使える連絡手段などがあります。
アンカーロープは何メートルあればいいですか?
ヤマハ発動機の解説では、アンカーチェーンを併用した場合で水深の3〜5倍程度が通常の天候での目安です。
荒天時は水深の5〜10倍が必要とされています。
ペラ(プロペラ)にロープが絡まったらどうしますか?
船外機ならチルトアップしてペラを水面の上に出せます。
自分のときは、海上でナイフを使って頑張って切りました。
ボートのエンジンが止まる原因で多いのは何ですか?
海上保安庁は、小型船舶の機関故障の原因は整備不良が多くを占めているとしています。
対策として挙がっているのは、発航前検査と、整備事業者による定期的な点検整備です。
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