電動リールはポータブル電源で動く?シガーソケット10Aの上限と実測の消費電流で、小型機と中・大型機を分けて考える
キャンプや防災用にポータブル電源を持っていると、電動リールのバッテリー代わりにならないか考えたくなります。
容量1,000Wh級なら、電動リール用バッテリーの何倍もの電気が入っているからです。

ポータブル電源にシガーソケットが付いてるけど、そこに電動リールをつないで大丈夫?

小さい電動ならいけそうな気がするけど、ビーストマスタークラスでも動くのかな。
結論は、小型機は条件付きで可、中・大型機は専用バッテリーです。
決め手になるのは容量ではなく、シガーソケットから一度に取り出せる電流の上限でした。
Jackery・Anker・EcoFlowの1,000Wh級3機種のシガーソケット出力と、個人がクランプメーターで測った電動リール3台の電流を並べ、ダイワ・シマノが公式に書いている電源の注意と突き合わせています。
この記事でわかること
- ダイワの取扱説明書が、専用以外のバッテリーについて何と書いているか
- ポータブル電源3機種のシガーソケット出力(12V前後・10A前後)
- 電動リールの消費電流の実測例(高負荷時 約10A〜13A以上)
- 小型機をポータブル電源で動かすときの条件
- マイボートで船のバッテリーから電源を取るときのダイワの注意
専用バッテリーの選び方は別の記事に
何Ahを買えばいいか、鉛とリチウムでどう違うかは、電動リール用バッテリー6製品を1Ahあたりの値段で比べた記事にまとめました。
ポータブル電源で動かせるのは小型機まで(条件付き)
ポータブル電源のシガーソケット出力は、3機種とも10A前後が上限です。
一方、電動リールの消費電流はメーカーが公表しておらず、手がかりは個人の実測例しかありません。
その実測例を上限と並べると、次のようになります。
| リールの大きさ | 高負荷時の電流(実測例) | シガーソケット上限(10A前後)と比べると | 判断 |
|---|---|---|---|
| 小型(22シーボーグ200J・19フォースマスター601) | 約8.3A〜10A程度 | 上限とほぼ同じ | 条件付きで可 |
| 中型(22ビーストマスター2000) | 常時13A以上・ロック時16A | 上限を超える | 専用バッテリー |
| 大型(3000番クラスなど) | 確認できた実測例なし | 比べられる数字なし(24V専用機もある) | 専用バッテリー |
小型機でも、高負荷では上限ぎりぎりまで電流が流れるという点は変わりません。
「条件付き」と書いたのはそのためです。
ダイワもシマノも、電源には専用バッテリーを使うよう案内しています。

容量が大きいから大丈夫、と考えがちなんですけど、効いてくるのは一度に流せる電流のほうなんですよね。1,000Whあっても、シガーソケットからは10A前後までしか出てきません。
ダイワとシマノは電源について何と書いているか
ダイワは専用バッテリー以外を勧めていない
ダイワのWEB取扱説明書「安全上のご注意」には、電源についてかなり踏み込んだ注意があります。
- 使う電源:リールの性能を十分に発揮させるため、電動リール専用バッテリーを使うこと
- 補償:バッテリー側の原因による故障・損害は補償しない
- 他社の電池:「ダイワの電動リールに使える」とうたう電池にダイワは関わっておらず、使用を勧めない。使うなら自己責任
- 指定電源以外は使用不可:電源は防水性のあるマリン用ディープサイクルバッテリーを推奨。リチウム電源は指定品(販売国)のみ対応
- 電圧:機種により直流(DC)12〜16.8V、12〜24V、24V専用。家庭用の交流100Vなどは使えない
- 低電圧:10V以下では巻き上げ出力が制限されることがある。低電圧で高負荷の巻き上げをすると電子部品を傷めるおそれ
ポータブル電源は専用バッテリーではないので、壊れたときにダイワの補償は期待できないと考えておくのが筋です。
リチウム電池については、大きな事故につながる可能性が高いので特に注意するよう書かれています。
シマノは製品ページでBTマスター11AHを推奨
シマノの電動リールの製品ページには、【電源について】という注記があります。
フォースマスター600/601もビーストマスター2000も、性能を十分に発揮するために大容量バッテリー(シマノ製のBTマスター11AH)の使用を推奨する、という書き方です。
保証の条件は保証書の裏面にある保証規定に書かれていて、シマノ公式サイトの修理規約もそちらを優先すると定めています。
保証規定の本文そのものは、シマノ公式サイトでは確認できませんでした。
修理規約には、修理後の無償再修理の期間内でも「異常電圧などの外部的要因」による故障は有料、という一文があります。

ダイワははっきり「お薦めしません」、シマノは「BTマスター推奨」。どちらもポータブル電源を名指しで禁止しているわけではないけど、保証の外で使うものだというのは共通です。
ポータブル電源のシガーソケットは10A前後で頭打ち
1,000Wh級の3機種で、シガーソケット出力の公式スペックを確かめました。
| 製品 | シガーソケット出力 | 容量 | 重さ |
|---|---|---|---|
| Jackery ポータブル電源 1000 New | 12V・10A(最大) | 1,070Wh | 10.8kg |
| Anker Solix C1000 | 最大120W | 1,056Wh | 約12.9kg |
| EcoFlow DELTA 3 Plus | 12.6V・10A(12V DC出力合計126W) | 1,024Wh | 約12.5kg |
Ankerはワットでの表記で、12Vで出すとすれば120Wは10Aにあたります。
つまり3機種とも、ほぼ同じところに上限があります。
容量は電動リール用バッテリーよりずっと大きくても、一度に流せる電流は10A前後というわけです。
上限を超えたときの動きは、Jackeryが公式のよくある質問で説明しています。
出力の上限値を超えると、電力を下げるか、保護が働いて自動で遮断することがある、という内容です。
EcoFlowもDELTA 3 Plusのマニュアルで注意を出しています。
シガーソケットにつなぐ機器が、起動時の電流・電圧の条件に合うかを確かめること。
合わないと正常に起動しない場合があり、実地のテストが必要だという書き方です。
電圧はリールの対応範囲の下のほう
ダイワの電動リールの対応電圧は、機種によってDC12〜16.8V、12〜24V、24V専用に分かれます。
12〜16.8Vの機種でも、シガーソケットの12V・12.6Vはその範囲の下のほう。
専用のリチウムバッテリーで巻上力や速度がどう変わるかは、ダイワがスペック表に数字を出しています(電動リール用バッテリーの比較記事で表にまとめました)。
Jackeryの1000 Newは3機種のなかでいちばん軽い10.8kgです。
EcoFlowのDELTA 3 Plusは、シガーソケットとDC5521ポートが合計126Wを分け合う仕様なので、同時に使うと電動リールに回せる分が減ります。

3機種とも10kg超え。ダイワのスーパーリチウム12000WPⅡ-Cが約1,230g、シマノのBTマスター11AHが1,700gなので、乗合船に担いでいくのはなかなかの覚悟が要りますね。
電動リールの消費電流は公表されていないので実測例で見る
リールが何アンペア食うのかは、両メーカーとも数字を出していないのが実情です。
そこで、個人のブログでクランプメーターを使って測った例を参考にします。
条件は、電動ラインワインダーで負荷をかけて巻き取り速度を最大にし、約16Vのバッテリーで測ったもの。
| 機種(実測例) | 無負荷 | 高負荷時 | スプールがロックしたとき |
|---|---|---|---|
| 22ビーストマスター2000 | 2.6A程度 | 常時13A以上 | 最大16A |
| 19フォースマスター601 | 2.5A程度 | 10A程度 | 記載なし |
| 22シーボーグ200J | 1.8A程度 | 約8.3A(10Aを超えない) | 記載なし |
出典:a fan of WRX STI「【電動リール】消費電力の考察(最大電流)」の実測例
22ビーストマスター2000は高負荷で常時13A以上で、どのポータブル電源のシガーソケットでも上限を超える数字です。
小型の19フォースマスター601と22シーボーグ200Jはそれぞれ10A程度・約8.3Aで、上限とほぼ同じか少し下です。
同じブログでは、通常使用時の電流を約2A程度としています。
平均で見れば余裕があっても、魚が掛かったときや重いオモリを巻き上げるときに瞬間的な電流が上限に届く、という構図です。
測定は約16Vのバッテリーで行われているので、12Vのシガーソケットにつないだときに同じ電流値になるとは限りません。

一人の方の手持ちリールで測った数字なので、個体差や条件の違いはあると思います。中型機が13Aを超えて小型機が10A前後、という差は、シガーソケットで回すかどうかを決める材料としては十分かなと。
小型機をポータブル電源で動かすときの条件
小型機なら動く可能性はありますが、次の条件がそろったうえでの話です。
- つなぐのはシガーソケット(直流12V):ポータブル電源のコンセント(交流100V)は使わない。ダイワは家庭用の交流100Vでは使えないとしている
- リールは1台だけ:小型2台の実測例を足すと20A近くになり、10A前後の上限を超える
- 止まる前提で使う:大物や根掛かりの高負荷で上限に当たると、保護で出力が落ちたり遮断されたりする
- コードは改造しない:ダイワは付属の専用コードを使い、コードを改造しないよう書いている
- 壊れたら自己責任:ダイワはバッテリー側の原因による故障を補償しない
ダイワのリールは、付属コードのワニ口クリップを電源の+と-につなぐ方式です。
シガーソケットにつなぐには、プラグ側の変換ケーブルが別に要ります。
ただ、リールのワニ口でそのまま挟める既製品は、ダイワ・シマノの純正を含めて見当たりませんでした(2026年11月7日時点)。
形が近いのは、エーモンの電源プラグ(品番1537)です。
メーカー公式の仕様は、DC12Vで120W以下・コード1.25sq相当で約1m・ミニ管ヒューズ10A内蔵。
そのまま挿せば使える品ではないので、買う前に次の点を知っておいてください。
- 先端に端子が付いていない:1.25sq用の丸型端子を圧着工具で付ける加工が要る(圧着が甘いと発熱する)
- +と-を取り違えない:端子どうしは絶縁し、ワニ口は端子の平らな面をしっかり挟む
- 120Wは上限ぎりぎり:12Vで約10Aなので、13A以上流れる実測例のリールだと巻き上げ中にヒューズや保護が働いて止まることがある
- 加工するのはこのケーブル側だけ:リールの電源に使うのはメーカーの想定外なので、小型機の軽い釣りに限り自己責任で
リールのコードを切ってシガープラグを付けるのは、ダイワが取説でやめるよう書いている改造にあたります。
止まったときのことも考えておきたいですね。
ダイワは、電源が切れてカウンター表示が消えた状態で手巻きすると水深カウンターが狂い、竿先を折るおそれがあると注意しています。

タチウオテンヤや電動タイラバのようにオモリが軽めの釣りなら、小型機でも上限に届く場面は減るのかなと思っています。ただ、止まったら手で巻くくらいの気持ちで使うものですね。
中・大型機は専用バッテリーを使う
中型の22ビーストマスター2000クラスから上は、実測例の段階でシガーソケットの上限を超えています。
さらに、ダイワの電動リールには12〜24V対応や24V専用の機種もあり、12Vのシガーソケットとはそもそも電圧が合いません。
シマノがビーストマスター2000の製品ページで推奨しているのは、自社のBTマスター11AHです。
ダイワの純正リチウムバッテリーなら、14.4V・12Ahのスーパーリチウム 12000WPⅡ-C。
容量の選び方や、ハピソンなど汎用の電動リール用バッテリーまで含めた比較は、電動リール用バッテリー6製品を1Ahあたりの値段で比べた記事に書いてます。
番手ごとの巻上力の差を見ながらリールを選ぶなら、ダイワとシマノの電動リールを番手ごとに比べた記事が参考になります。
マイボートで船のバッテリーから取るなら
マイボートなら、ポータブル電源を持ち込まずに船のバッテリーから取る手もありますね。
ダイワの取扱説明書は、船電源を使う場合は船側に損害が生じることがあるとしたうえで、エンジンを切った状態で容量を使い切らないよう書いています。
理由として挙げているのが、エンジンが始動せず遭難するという一文です。
同じ取説には、船電源は発電機や配線の関係で電圧が不安定になりやすく、保護回路でリールが止まったり断続的になったりすることがある、とも書かれています。
エンジン始動用のバッテリーとリール用の電源を分けておくのが、ダイワの注意に沿ったやり方です。
係留中のバッテリー上がりが気になるなら、ボートのバッテリー上がりをソーラーパネルで防ぐ記事もあわせてどうぞ。
電動リールとポータブル電源でよくある質問
ポータブル電源で電動リールは動きますか?
小型機は条件付きで動く可能性がありますが、中・大型機は専用バッテリーを使うのが無難です。
ポータブル電源のシガーソケットは10A前後が上限で、個人の実測例では中型のビーストマスター2000が高負荷時に常時13A以上流れていました。
ダイワもシマノも、電源には専用バッテリーを案内しています。
ポータブル電源のコンセント(AC100V)につないでもいいですか?
ダイワは、家庭用の交流100Vなど指定外の電源では使えないとしています。
電動リールは直流で動くので、つなぐならシガーソケット(直流12V)の側です。
ポータブル電源を使ってリールが壊れたら保証されますか?
ダイワは、バッテリー側の原因による故障・損害は補償しないと取扱説明書に書いています。
ダイワ以外の電池は使用を勧めておらず、使う場合は自己責任という扱いです。
シマノは保証条件を保証書裏面の保証規定に置いていて、本文は公式サイトでは確認できませんでした。
電動リールの消費電流はどれくらいですか?
ダイワもシマノも消費電流を公表していません。
個人の実測例では、高負荷時に19フォースマスター601が10A程度、22ビーストマスター2000が常時13A以上でした。
同じ実測では、通常使用時の電流は約2A程度とされています。
マイボートの船のバッテリーから電動リールの電源を取ってもいいですか?
ダイワは、船電源を使う場合はエンジンを切った状態で容量を使い切らないよう注意しています。
エンジンが始動せず遭難するおそれがあるためです。
船電源は電圧が不安定になりやすく、リールの保護回路で止まることがあるとも書かれています。
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